電脳文芸同人誌 鐘楼

我、鐘を鳴らす者也。此の音、鐘を聴いた者の音也。

第八鐘 この鐘を鳴らすのは


スポンサードリンク

本が売れない時代、売れるものは文学性のない小説。評論家のいない時代、匿名の感想が権利をもつようになった。

どの時代にも文句ばかりの人がいる。

鐘楼が唯一無二である点は、後には引けない者たちが自分という内なる神託に従うとこにあるだろう。私もそうだ。93歳にして、はじめて大きな賞をもらったが、つづけてこれたのは、自分がつづけたいからに他ならない。ひとつも売れない本を書いたこともあったが、それでも楽しかった。

若い時分には自由律俳句に凝ったこともあったが、小説家業の片隅で句集をだしていたことをいまのいままで忘れていた。この機会を与えてくれた創刊者に感謝を述べたい。

 

 

ひとひら

夜中ってのは無人駅だ

外が明るければ寝る

酒をあおる背中

くしゃみしても二人

電柱で蝉が鳴く

毎日カレーライス食いたい

咳をして猫が近寄る

氷、齧る、老婆

清流に黒い鯉

蟻を並べてよんよんに

 

 

f:id:bencigaiBET:20200424053829j:plain

 

俳号:雲運

 

略歴

伝説の自由律俳誌『趙雲』に参加するも、自由律狩りが激化し潜伏。潜伏中に書いた小説『あなぐら』で高田ピーマンの名前でデビュー。執筆の速さから分身のピーマンの異名をとった。平成令和俳句定型律自由運動の指導者のうちの一人。一世を風靡した文芸同人『死と灰』では読者投稿の選句を担当。辛口評論家として信頼を集める。いまだにガラケーを使うが、自由律狩りで失った両足は脳波操作の空中ジェット機能付き。第15回世界小説祭で私小説部門大賞を受賞した。