電脳文芸同人誌 鐘楼

我、鐘を鳴らす者也。此の音、鐘を聴いた者の音也。

第十一鐘 記録と媒体と感染

格差が広がって久しいが、格差を是正しない怠慢な時間も格差拡大と時を同じくしているので、高所得層の社会的勝利であることは免れない。中、低所得層から英雄が現れるのを待っている時間に、我々一同、勉学に励み、理想とする社会に近づけるよう努力したな…

第十鐘 ポエトリー・オートマティク・ブラフマニズム

科学ですべてが可能になるからこそ、 科学を利用する者のモラルが必要なように、 我々を支配する原理に関しても、 正しい道から逸れぬように、 学び続けなければならない。 私の師であり、機械社会学者、神学博士の故武田林風林先生の言葉である。ある時代、…

第九鐘 対岸の明かり

隣の芝が青いとうらやましいと言うが、果たして夜でも同じことを思うだろうか。 いま、世は暗く、溝は深く、底のほうでは何やらさわがしい。蟲の蠢きが如く、そこに行くのは恐ろしい。 暴動や、テロや、戦争を経験して思うのは、だれも平和を望んではいない…

第八鐘 この鐘を鳴らすのは

本が売れない時代、売れるものは文学性のない小説。評論家のいない時代、匿名の感想が権利をもつようになった。 どの時代にも文句ばかりの人がいる。 鐘楼が唯一無二である点は、後には引けない者たちが自分という内なる神託に従うとこにあるだろう。私もそ…

第七鐘 扉を開くカギ

はじめに お堅い仕事につく、おかたい人。つまり嫌なやつってのはこの世にごまんといる。 かつて私もその一人だった。申し訳ない。私がその通称、クズを卒業したので、嫌な奴は残り四万と9999人ということになる、みんな頑張ろう。 さて、人を蝶にたとえ…

第六鐘 実らん秋の、ただ待たりけり

前文『ロボットから愛を込めて』 人生いずれ、ただ待つしかないときがある。ほかに何もやることがなく、最善はジッと堪えること。せっかちな国民性があだとなった、かの『コロナ・ショック』では、人間の退化もあらわになった。かといって私はみなを啓もうす…

第五鐘 ハルカカナタカ、チカクニイルノカ

はじめに 見切り発車で出発したこの「鐘楼」は、はたしてどこに向かうのだろう。 誰を乗せて、どこまで行くのだろう。それすらもわからない。途中下車も途中乗車も、ときには許され、ときにはその混乱を楽しむだろう。秩序の下に出発したわけじゃない。 しか…

第四鐘 深淵を覗くとき

はじめに 第四に登場するのは、世界を又にかける文芸の大家ではなく、狂った美術家であることを謝罪したい。私は薬物もアルコールもやらないが、貧乏育ちの偏食が高じて脳にいかれたものが住んでいるようだ。トカゲ、カエル、キノコ、木の皮、噛み切れるもの…

第三鐘 混沌は続く

はじめに 本誌が非難を浴びることは明らかだ。私のような犯罪者の文学志向を許すのだから。されどこの同人の創刊者は、世俗的な犯罪者と、超自然的な英雄の違いを心得るお方である。加えて、文学的韜晦(とうかい)の有無を判断できる選ばれた読者を抱えるの…

第二鐘 清流より愛を籠めて

はじめに 招待を受けてこちらに失礼します。女流作家として三十年、文学の流転を時には中心で、ときには端っこで、書物の純血に淀みのないように漂っていましたが、私のこじんまりとした船にも ”あの運動” (令和・平成俳句定型律自由文芸運動) の波が、嵐…

第一鐘 我ら月下で舞踏する者也

はじめに 鐘楼に初掲載を許された我々は、所謂、詩情を崇高のものとする過激派だ。文芸を読むとき、見えざる詩情まで読んでしまう。それはシャーロック・ホームズのように解読を能動的に要求しなくとも、経験と勘とで見えてくるものである。全ての読書人、創…